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関西の沖釣り名人 今井浩次の「今日も釣り気分」

山菜の王様 タラの芽

 春は山菜の季節ですね。
 渓流釣りにはまっているころ、よく山菜を採って帰りました。
 水際にあって美味しいのは、花が咲く頃の葉ワサビやオオバギボウシ、山ブキやイワガネゼンマイなど。
 そして、荒れ地などでタラの芽を見つけたときは、尺アマゴを釣りあげたときと変わらないぐらい嬉々として摘んで帰ってものです。
 タラの芽は、山菜の王様といわれるだけあって、さすがに美味しいですね。僕は天ぷらとバター炒めが好物でした。
 つい、14、15年前までは、堺の自宅近くの池の堤にもタラの木が自生していたのですが、知識のない人たちが木に出ている芽を全部摘み取るようになって、枯らしてしまいました。
  タラの木は、全身が棘に覆われ厳つい姿をしていますが意外に繊細な木で、芽を全部摘み取ってしまうと枯れてしまいます。だから、採取するのは、一番美味しいといわれる枝のてっぺんにできる頂芽だけなのです。
 頂芽を摘むと、しばらくするとその脇から脇芽が出ます。これが2番目に美味しいタラの芽です。この脇芽も摘んでしまうと、今度は幹から直接芽が出ます。これが胴芽です。頂芽や脇芽と同じ姿をしていますが、味がしません。美味しくないのです。
 それを知らずに胴芽まで摘んでしまうと、その木は枯れてしまうのです。
 そんな山菜の王様を淡路島から送っていただきました。今回は天ぷらと味噌田楽でいただきましたが、蕗のとうのようなほろ苦さや、山菜特有のえぐみもありません。あるのは味のある野菜のような旨みだけ。まさに春の味でした。