関西の沖釣り名人 今井浩次の「今日も釣り気分」

　しばらくご無沙汰していましたが、久しぶりに駅前3ビルにある吟醸酒とうまい魚の店「花狩人かとう」へいってきました。
　本日のメニューは、シーズン初のてっちりでした。突き出しは、丹波の黒枝豆とトツカアジの酢締めにとろろ昆布を添えたものです。
　こういうのをええ塩梅というのでしょうか、酸味のあるアジの身と、とろろ昆布のうまみ成分が見事に絡み合って、口の中で軽快なハーモニーを奏でてくれるのです。もちろん主役は酢で締めたアジなのですが、そこにとろろ昆布が傍若無人に割り込んでくるのではなく、控えめに（私も美味しおすえ）と恥じらいながら訴えかけてくる謙虚さがいいのです。
　さらには、甘みというべきか、旨みとといった方がいいのか…、丹波の黒豆は今の季節しか食べられないという、刹那的なところがあって、毎年楽しみにしているのですが、プレミアムモルﾂとは、糟糠の妻のように相性が良くて、ついお代り（もちろんビールですが）してしまいました。

　突き出しの後は、てっさです。
　てっさといえば、皿の地が透けて見える菊花造りが定番ですが、加藤流は、歯応えたっぷり、旨みもたっぷりの”マッチョ”のようなてっさです。厚みでいえば普通のてっさの3倍ぐらいはあるでしょうか。これをポン酢にちょぼっとだけ浸して、しっかりと噛みしめてみます。
　ポン酢とフグのうまみが絡んだ時に生まれる、華やかなのにどこか物静かで品のある、ふくよかな味にいつも感銘を受けてしまうのです。白身魚のうまさは、かくあるべき、そう教えられているような気分にさせられるのです。

　一杯目のお酒は、北海道の北の誉。ほど良い旨さと切れの良さが、てっさによく合いました。
　二杯目は、福井県の三方五湖に蔵がある早瀬浦。初めてのお酒でしたがしっかりした味があるのに切れの良いお酒でした。早瀬には昔、よく釣りに行ったことがあるので、懐かしさ感じました。

　てっちりを堪能して、締めはやはり雑炊。お酒の締めは、新潟の〆張鶴・純でめでたくお開きとなりました。
　酩酊とまではいきませんでしたが、久しぶりに酔いました。いい酔いでした。